2024.02.06着付教室
2023着付技能検定1級・Nさんの受験記録
2023年9月25日(月)
Nさんは着付け歴5年
私の証券会社時代の同期の紹介で
市外からレッスンに来てくれることになったNさん。
同じく私のお仕事のお手伝いをしていただいておりました。
彼女の受験はとてもとても記憶に残るものになりました。
長くなりますが、これから受験される方
これから着付師を目指される方にはきっと参考になると思いますので
よければご一読ください。
モデルはNさんのお嬢様でした.
Nさん自身、受験日の3日ほど前から体調を崩していて
(コロナでないことは確認済み)
最終練習よりも体調を整えること優先で
万全の体制で臨めたとはいいがたい状況だった。
受験日当日、駅で待ち合わせて会場に同行したときは
2人とも元気で一安心。
会場に入っていくところまで確認して試験の終了を待った。
この日は、予備モデルとして会場にも来てくれていたKさんと
いろいろ話していたのであっという間に時間が経過
待つこと約2時間
審査の前に受験者が退場してくるのを2人で待っていた。
するとNさんから思いもよらない報告を聞く
目に涙を浮かべて
「試験が始まってから娘の体調が悪くなって・・・」
「えっ?!元気に入っていったやん」
「そうなんです・・・最初の準備の時に部屋がかなり冷えていて・・・
補整を始めた直後、娘が気分が悪いと言い出したので手を上げて検定員の先生を呼びました。
椅子をもってきてくれて座ってしばらくしたら娘の体調も少し戻ったので補整の続きをしたのですが、後ろの補整が終わったところくらいで再度気分が悪いとなり着席。その後嘔吐してしまったんです。。。」
ここまで聞いてもう私も頭が真っ白・・・
「嘔吐している娘を見て『あぁもう棄権した方がいいのかな』と思ってたんですが、娘が逆に『いける』と言ったので補整の続きをしようと思ったのですが
時間がもう間に合わないと思い、前の補整はせず、長じゅばんに袖を通したところで長じゅばんまでの時間が終わったんです・・・」
「・・・・・・?!?!?!」
「もうあかんなと思っていたら、検定員の先生が
『私たちでは判断できないので本部に問い合わせますから待っててください』と言われて・・・
結果『長じゅばんを着せる時間をプラスしてはできないけど、着物と帯の時間内に着せるなら続行して良いですがどうしますか?』と尋ねられ、やります、と答えました」
「うん・・・」
「着付け開始の時間から長じゅばんを着せたんですが
前(胸)の補整をしていたら間に合わないと判断して、前の補整はなしで長じゅばんを着せました。
娘は気分が悪くなっているので強く締めることもできないと思ってゆるゆるに着せたんです。そうすると、やっぱり長襦袢の衿が流れてきて・・・
そこで先生から前に教えてもらった『着物で長襦袢の衿を寄せるねんで』っていう言葉を思い出して、とっさにそういう風にしたらなんとかできて。
腰ひもや帯も結構ゆるゆるだけど、なんとか時間内に仕上げまでできたんです。」と
Nさんも試験中は必死で緊張していたから泣く余裕すらなかったのだと思うけど、無事すべてが終わって泣いていて、私もほかの受験者もKさんも、みんなで泣いた。
「すごいんな、Nさん。Nさんのその判断で正しかったんやで。
その判断力と対応力と気力がNさんにあったということが、何より成長の証。私は誇りに思う」
そんな風なことを言ったと思う。
もともと練習の時から着物と帯の時間には余裕があるとは言えなかったのに
本当にようやった!すばらしい集中力。
そうこれが現場での臨機応変な対応力、接客力につながる
試験とはいえ、すごい良い経験したね・・・
もう試験の結果なんてどっちでもいいやん、
貴女は素晴らしい着付師であることは私が証明する
そう感じた。
長襦袢を時間内に着せられなかったことが
どれほどの減点になったか、なっていないかはわからない。
それがNさんの合否に大きく関わるだろうとは思っていたけれど
合格発表でNさんの番号を見つけた私は嬉しさと安堵でまた泣いた
合格してなくてもいいと思ってたけれど
頑張ってきたみんなと共に合格できたことは何よりの喜び。
臨機応変な判断力、集中力、気力
最後まで諦めない気持ち
それらが報われたというか認められた気がして
普通に合格するよりも、何倍も嬉しかった。
そして
当日の試験官の先生方のご対応、試験を続けさせてくださった協会にも
心から感謝したいです。
ありがとうございました。
Nさん
合格本当に本当におめでとうございます☆
この経験を活かしてますますのご活躍をお祈りしております!